当院での医療安全への取り組み


PD(危険薬)導入 2003.8

すべての診療工程のすべての治療行為について安全を担保されることが理想であり、責務でもあることは医療従事者であれば誰でもが認識しております。
様々な医療現場におけるエラー、事故は起こそうとして起きているものではありませんが、すべての治療行為は人が人に対して行う侵襲行為であると言われる以上、医療における安全が実現しようとして仲々実現できないものであることは「人は誰でも間違える」においても指摘される通りであります。昨今、制度上もさることながら、行政初め全国的にも多くの医療機関で様々な取組みがされるようになりました。
現行の医療制度下の個々の医療体制で設けられた治療スタッフの人員で、複雑な、且つ徹底したチェック機能を課すことが、現場における治療行為において却ってリスクを高くする、又は治療スタッフに単に加重となるものは、エラーの低減に結びつかないものであることは医療に携わる者であればほとんどが感じているものと思われます。診療工程の工数をハード的に増加させることや一人当たりの人的工数を増加させることは、経済的に成り立てば取組める一面であるものの、それのみによって安全が確保されるとも言えません。
当院では、我が国の医療安全の先駆者である医真会八尾総合病院医真会オーデット機構室長浦上秀一先生の見解に則り、リスクのレベルを分類し、よりハイリスクな診療行為について、あらゆる治療スタッフが最大限の安全を確保できるよう、機能を複雑化させることなくシンプルに安全を担保できる、その一つとして、日常の診療行為において頻回に実施される注射薬について、危険薬(Peril Drug)の識別を導入し、生命の危険に大きく影響する注射薬の患者誤認・誤投与を防止できるよう、治療スタッフが施行する時点で最大限の注意を喚起するシステムを取り入れることにいたしました。

百瀬隆康


PD(取り扱い危険薬)分類調剤の実施

 現在当院では、医療安全管理委員会を中心として院内医療事故防止に取り組んでおります。しかし、薬剤投与行程の全てに注意を払い誤投薬をゼロにすることは、現実にはどの職種もが業務多忙の中では不可能に近く、数々のインシデント・アクシデントが報告されています。

 現在薬局では、注射剤の投与法を色分けした札で区別(黄色:点滴、赤色:静注、青色:筋注、ゼブラ:皮下注、緑色:処置用)し、患者氏名と月日・投与時間等を記入し、セットしています。

 今回更に、院内で取り扱っている注射薬剤で、使用上大きなリスクを持っていると考えられるものを<PD(Perilous Drug、取り扱い危険薬)>と称し、分類調剤することに致しました。
<PD>は、他剤を入れたビニール袋とは別に、<PD>と記載した赤字色シールを貼付した袋に入れて払い出します。
 薬局から払い出された注射剤のうち、<PD>が貼付された薬剤に関しては特に取り扱いに最大限の注意をして頂き、再度の確認(患者名・年齢・対象疾病・薬剤名・濃度・投与経路・投与速度等)の上投与する事で、誤投薬の中でも特に危険な事故の防止に役立てていきます。
 平成15年8月21日の医療安全管理委員会にて承認を得たことにより、平成15年9月1日施行分より実施します。

<PD(危険薬)一覧>  H17年7月現在

薬  品  名 成  分  名 毒劇向 分   類
アスパラ K 注 10mEq/10ml アスパラギン酸カリウム   補正用電解質製剤
アポプロン 注 0.5mg/1ml レセルピン 【劇】 血圧降下剤
アミサリン 注 100mg/1ml 塩酸プロカインアミド   不整脈用剤
アミノフィリン 注 250mg/10ml アミノフィリン   強心剤
アレビアチン 注 250mg/5ml フェニトインナトリウム 【劇】 抗けいれん剤
エホチール 注 10mg/1ml 塩酸エチレフリン 【劇】 強心剤
キシロカイン 注 1% 5ml リドカイン 【劇】 局所麻酔剤




不整脈用剤
キシロカイン 注 2% 5ml リドカイン 【劇】
キシロカイン 注 エピレナミン 1% 20ml 塩酸リドカイン・エピネフリン 【劇】
キシロカイン 筋注用 0.5% 3ml リドカイン 【劇】
キシロカイン 10% 点滴用 10ml リドカイン 【劇】
KCL注 15% 10ml 塩化カリウム   補正用電解質製剤
サクシゾン 注 100mg 水溶性ヒドロコルチゾン   副腎皮質ホルモン剤
サクシゾン 注 500mg  
ジギラノゲンC 注 0.4mg/2ml デスラノシド 【劇】 強心剤
セルシン 注 10mg/2ml ジアゼパム 【向】 催眠鎮静剤、
抗不安剤
セレネ-ス 注 5mg/1ml ハロペリドール 【劇】 精神神経用剤
ソル・メルコート 注 40mg コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム   副腎皮質ホルモン剤
ソル・メルコート 注 125mg  
ソル・メルコート 注 500mg  
塩酸ドパミン注 100mg/5ml 塩酸ドパミン 【劇】 強心剤
塩酸ドパミンキット 600mg/200ml 【劇】
ドプタミンH 注 100mg/5ml 塩酸ドプタミン 【劇】 強心剤
ドルミカム 注 10mg/2ml ミダゾラム 【向】 催眠鎮静剤
ノルアドリナリン 注 1mg/1ml ノルエピネフリン 【劇】 血管収縮剤
ハイコート 注 2mg/0.5ml リン酸ベタメタゾンナトリウム   副腎皮質ホルモン剤
ハンプ 注 1000μg カルペリチド 【劇】 血管拡張剤
ヒュ-マリン N注 100単位/ml イソフェンインスリン水性懸濁 【劇】 糖尿病用剤
ヒュ-マリン 3/7注 100単位/ml 【劇】
ヒュ-マリン R注 100単位/ml 【劇】
フェノバ-ル 100mg/1ml フェノバルビタール 【劇・向】 催眠鎮静剤、
抗不安剤
プロタノ-ル-L 注 0.2mg/1ml 塩酸イソプロテレノール 【劇】 強心剤
ペルジピン 注 10mg/10ml 塩酸ニカルジピン 【劇】 血圧降下剤
ヘルベッサ- 注射用 50mg 塩酸ジルチアゼム 【劇】
ペンフィル R 注 150単位/1筒 ヒトインスリン 【劇】 糖尿病用剤
ペンフィル 30R 注 150単位/1筒 【劇】
ペンフィル N 注 150単位/1筒 【劇】
ボスミン 注 1mg/1ml エピネフリン 【劇】 血管収縮剤
マスキュレート 注 4mg/10ml 臭化ベクロニウム 【毒】 骨格筋弛緩剤
ミオブロック 注 4mg/2ml 臭化パンクロニウム 【毒】 骨格筋弛緩剤
ミリスロ-ル 注 5mg/10ml ニトログリセリン 【劇】 血管拡張剤
ラボナ-ル 500mg チオペンタールナトリウム 【劇】 全身麻酔剤
リスモダン P 注 50mg/5ml リン酸ジソピラミド 【劇】 不整脈用剤
ワソラン 注 5mg/2ml 塩酸ベラパミル 【劇】 不整脈用剤
用時購入薬に関してはその都度薬剤師が判断し、PDとみなした薬剤は医療安全管理委員会に報告し、上記の薬剤と同様の取り扱いを行います。
疑問な点があった場合、その都度必ず処方された医師、又は薬剤師に問い合わせの上、施行して下さい。
朋愛病院薬局